はじめに
哲学を学ぶ上で最初に読む入門書としては最適だと思います(´・ω・`)
哲学者の思想が簡単にまとめられています
大学で哲学の講義を取っていたので
勉強のために読んだ本ですが
結構、面白かったです_(:3 」∠)_
他人の思想に触れるというのは
人生観が変わるほどの刺激が得られます!(`・ω・´)
メジャーな哲学者の基本的な思想は
この本1冊を読めば、大体分かると思います(^ω^)
哲学の歴史を4分割にして
それぞれの時代毎にまとめてあります(っ´ω`c)
①古代哲学者 紀元前
②近代哲学者 ヨーロッパ中世
③近現代哲学者 19世紀
④現代哲学者 20世紀
それでは、各時代の哲学者の思想を見ていきたいと思います(´・ω・`)
割と雑にまとめてしまったので
より詳しくは本書をお読みください!(`・ω・´)
古代哲学者編
古代哲学の背景
①哲学とは真理を知ること
②真理を知れば考え方が変わる 考え方が変われば世界の見え方も変わる
③哲学はギリシャ神話からの脱却から始まった
④最初の哲学は、この世界は何からできているのか、というところから考え始めた
古代哲学者5人
①タレス
②ソクラテス
③プラトン
④アリストテレス
⑤エピクロス
タレス

①タレスは人類初の哲学者
②哲学史上最初の記述は、「万物の根源は水である」
③万物の根源⇒ギリシャ語でアルケー
④アルケーとは何か? 当時の哲学者の定義
タレス⇒水
アナクシマンドロス⇒無限なるもの
アナクシメネス⇒空気
ヘラクレイトス⇒火
デモクリトス⇒原子
ピタゴラス⇒数
⑤神抜きでこの世界のことを考える=世界で最初の哲学
⑥哲学=フィロソフィア=知恵を愛する
フィロ=愛する
ソフィア=知恵
ソフィスト=知恵のある者=詭弁家、金銭を受け取って徳を教える者
フィロソフィスト=哲学者=知恵を愛する者
⑦ギリシャ神話を知らない者もいる⇒神は絶対ではない⇒神抜きで世界を考え始めた
⑧哲学が日本に入ってきたのは江戸時代末期 当時は希哲学と呼ばれた
ソクラテス

①プロタゴラスの相対主義への批判
②プロタゴラスの相対主義⇒人間は万物の尺度である
⇒物事の見方は人によって異なる⇒真理の探究の意味の喪失
③ソクラテス以前の弁論術⇒相手を言い負かし、自分の考えを押しつける
④ソクラテスの弁論術⇒相手の矛盾と無知を指摘することで、無知を自覚させる
⑤無知の知⇒知ったかぶりをやめる⇒知らないことへの真理の探究
⑥死刑を宣告されたが、脱獄することなく、服毒自殺をした
⑦人間が死後に持っていけるものは魂だけ
⑧魂をより良くすることこそが、生きる最大の目的
⑨「善く生きる」ためには善悪を判断するための知が必要
プラトン

①本質=イデア
②イデアは絶対に存在する
③イデアは現実世界には無く、イデア界に存在する
④民主政治批判⇒哲人政治⇒国を統治する者は哲学者がなるべき
あるいは、現在の統治者が哲学を学ぶべき
⑤民主主義では統治能力が無い人間が金や権力でのし上がるリスクがある
⑥哲人政治=本物の知恵を持つ哲学者が国を統治すべき
⑦プラトンの理想国家論
A:政治を行う統治者階級
B:軍人、役人などの防衛者階級
C:生産者階級
⑧AとBは支配者層、Cは被支配者層
支配者層には私有財産を認めず、共同生活を課す 家族も認めない
⑨哲学王を目指す支配者層は国民を幸せにするために存在し
個人の幸福という世俗的な問題を持つべきではない
⑩この理想国家論を実行した学校がアカデメイア
⑪アカデメイアのスーパーエリートがアリストテレス
アリストテレス

①プラトンのイデア論を否定
②イデア界の存在の確認が不可能
③世の中には新しいものが次々と出てくる
④それら全てにイデアがあると説明するのには無理がある
⑤本質はものにある
⑥ものの本質を形相=エイドスと呼んだ 形相=かたち
⑦形相に必要な素材⇒質料=ヒュレー
⑧形相になる可能性のある状態⇒可能態=デュナメス
⑨形相になった状態⇒現実態=エネルゲイア
⑩例えば、種は質料で木になる可能態 木は現実態で机になる可能態でもある
⑪政治体制批判
A:君主制⇒王が権力に溺れ、独裁政治になるリスク
B:貴族政治⇒権力闘争、派閥闘争により政治が疎かになるリスク
C:民主制⇒衆愚政治に陥るリスク アテネの失敗
⑫アリストテレスは、この中間を取ることが最適だと考えた⇒中庸=メソテース
⑬中庸⇒極端なもの妥協なものを取らず、その時々の最適なものを選ぶ
エピクロス

①快楽主義⇒快楽は祝福された生の起源であり目的である
②最も優れた本物の快⇒知恵=静的快
③食欲、性欲⇒身体的な快楽=動的快
④知恵によって、平静=アタラクシアを獲得することが快楽主義の目的
⑤エピクロスと対照的な考え方がゼノンの禁欲主義=ストア派
⑥禁欲主義⇒理性によって欲望に流されない不動心=アパテイアの獲得を目的
⑦アテネの4大学園
A:プラトンのアカデメイア
B:アリストテレスのリュケイオン
C:ゼノンのストア
D:エピクロスのエピクロスの園
⑧AとBは貴族の子弟を相手にしたエリート教育機関
⑨CとDは庶民や奴隷を相手にした一般教育機関
⑩神は別世界の住人 人間とは関係の無い存在⇒祈りを捧げても無駄
⑪死を恐れるな 死によって肉体も魂も消滅する
⑫死が存在するとき、我々は存在しない
⑬死は無いに等しい⇒死後の世界も存在しない
⇒死を恐れる必要もない⇒今を楽しめ!
近代哲学者編
近代哲学の背景
①ヨーロッパ中世はキリスト教を中心とした社会
②哲学を含めた全ての学問はキリスト教神学に吸収されていた
③キリスト教神学を完成させたのは、13世紀のトマス=アクィナス
④その神学体系はスコラ哲学と呼ばれる
⑤16世紀に入ると、ローマ=キリスト教会の権威が衰え
学問と神学の切り離しが始まった
⑥古代ギリシア・ローマの文化を見直し
人間を中心とした芸術や文学が生まれたのがルネサンス期
⑦神学から離れて真理を探究する⇒近代哲学
⑧近代哲学の二大潮流⇒イギリス経験論と大陸合理論
近代哲学者12人
①ベーコン
②デカルト
③スピノザ
④ライプニッツ
⑤ロック
⑥バークリー
⑦ヒューム
⑧パスカル
⑨ロック
⑩カント
⑪ヘーゲル
⑫マルクス
ベーコン

①知は力なり 自然科学と技術開発は人間により良い環境を与えてくれる
②スコラ哲学は役に立たない空理空論
③演繹法による真理獲得への批判⇒4つのイドラによって偏見が生じる
A:洞窟のイドラ
B:劇場のイドラ
C:種族のイドラ
D:市場のイドラ
④Aは個人の教育やある環境で学んだことで生じる偏見
⑤Bは伝統や権威と結びついた学説を無批判に信じることで生じる偏見
⑥Cは人間の勘違いから生じる偏見
⑦Dは言葉の不適切な用法で生じる偏見
⑧4つのイドラを排除したサンプルを集め
共通項である一般法則を手に入れる⇒帰納法⇒イギリス経験論
デカルト

①確かな事実を積み上げ、合理的に結論を導き出す⇒演繹法⇒大陸合理論
②人間の感覚は信用できない⇒全てを疑う⇒方法的懐疑
③「我思う、ゆえに我あり」=コギト・エルゴ・スム
⇒自分の存在のみが絶対的に信じられる
④古代ギリシア哲学⇒世界の存在が前提
⑤デカルト哲学⇒世界の存在は前提ではない
⑥客観=世界よりも、主観=自分にスポットを当てたのがデカルト哲学
⑦物心二元論⇒主観と客観を分けて考えること
⑧機械論的自然観⇒神は世界の設計者に過ぎない
⇒動かしたら、全ては順調に行くので、もう神の出番は無い
スピノザ

①一元論⇒神こそが唯一の実体 神=自然
②汎神論⇒世界の全ては神の現れ
③精神も物質も神が変化したものであり
主観=人間の認識と客観=世界の一致は当然である
ライプニッツ

①単子論=モナドロジー⇒世界は無数のモナド=単子から構成されている
②モナド⇒分割不可能で不変の実体 物体ではなく、精神的な実体
③モナドは独立していて、相互に干渉することもない
④モナドの調和とバランスを考えた存在=モナドの創造主=神
⑤ライプニッツ流一元論=モナドロジー=世界は神がつくったモナドでできている
ロック

①社会契約論⇒元々バラバラであった個人が契約を結んでつくったものが国家である
②国民主権⇒契約後も国民は個人としての権利を保持する
③「ダブラ・ラサ」=白紙⇒人は誰も、生まれたときは心が白紙の状態である
⇒経験によって観念が生まれる
④世界の存在を前提としている
バークリー

①存在するのは主体=私だけ
②存在するとは、知覚されることである
ヒューム

①主体さえも存在すると考えられる根拠は無い
②経験で得られる以上の知識は存在しない⇒因果関係は人間の単なる習慣
⇒将来もそうなるとは限らない、偶然そうなっただけかもしれない
③主体とは、感覚の集まりでしかない
⇒主体とは、モノを認識する前提としてあるわけではない
⇒知覚の結果として主体がある
パスカル

①宗教哲学者 キリスト教護教論者
②デカルトやスピノザの神が哲学用の神に対して
パスカルの言う神はキリスト教の神であった
③自然科学とキリスト教の棲み分けをして、どちらも肯定した
④「人間は考える葦である」
⇒人間は自然の中では最も弱い存在であるが、考えるという点において偉大である
⑤機械論的自然観に対する批判⇒デカルトの神には愛と慰めが欠けている
⑥人間は孤独で惨めな存在である⇒救済が必要⇒キリスト教の神
⑦神の存在をギャンブルにした⇒信じておけば、損することはない
信仰⇒天国 不信仰⇒地獄 神の不在⇒何も起こらない
ルソー

①啓蒙主義⇒百科全書作成 知の集大成に誰でもアクセス可能
②百科全書派⇒ルソー、ヴォルテール、ディドロ
③異端児⇒理性より感情を重視
④文明害悪論⇒人間は生まれながらには善であるが
文明社会で育つことにより、欺瞞と偽善だらけになる
⑤文明社会は破壊できない
⇒人間の自然な本能と感情を素直に表現できる社会をつくれば良い
⇒教育改革⇒エミール⇒思いやりと愛情
⑥一般意思⇒社会全体の意思⇒社会全体として一番良いと考えられる利益を目指す
⑦一般意思に従うことで個人の私的な意思を排除する
⑧国民は一般意思による国家運営をするよう国王、政治家などに政治を託す
⑨契約された国家が間違いをした時は契約を結び直す
⇒いつでも国家はつくり直すことができる⇒フランス革命の原動となった
⑩日本は間接民主主義⇒少数の意見は排除される⇒全体意思⇒一般意思は成立しない
⑪一般意思をつくるには直接民主主義が必須
⑫全体意思⇒私的利益を追求する意思の集まり
⑬一般意思⇒公的利益を追求する意思の集まり
⑭ロックの社会契約論批判⇒本来、人間は平等であるが
個人が国家と契約することで、個人の権利が保障された
⇒私有財産の法的な正当化⇒支配層と被支配層の誕生
⑮個人の権利の否定⇒共産主義的な革命理論に影響を与えた
カント

①人間はリンゴを正確に認識できない
⇒リンゴは感覚による主観で得られた存在であり、客観的でない
②客観のモノ=物自体=ヌーメナと呼んだ
③ヌーメナを認識することは不可能
④客観的なリンゴは認識できないが、客観性のあるリンゴは認識できる
⇒他者がリンゴを認識できる時、リンゴがあることは客観性のあることと言える
⑤ヌーメナは正確に認識することができなくても
主観に現れたとき、それは客観性のあるモノとして認識できる
⑥主観の中に現れたモノ⇒現象界⇒他者と共有できる
⑦ヌーメナ≠現象界
⑧人間は認識可能な客観性のある世界をつくり上げている
⑨客観は主観の中につくられたもの⇒コペルニクス的転回であった
⇒それまで、客観は主観の外にあると考えられていた
⑩人間が世界を認識するメカニズム⇒感性・悟性・理性の3種類
⑪感性⇒五感 感覚
⑫悟性⇒感性によって得た情報を一般化する能力
例:赤い、丸い、小さい⇒リンゴ
⑬理性⇒悟性の上位能力 悟性で把握された事柄を統合して体系的に考える能力
例:この世になぜリンゴはあるのか?
⑭感性と悟性は動物にもあるが、理性は人間にのみある
⑮ヌーメナに接近するのが理性の力⇒理性の力にも限界がある
⇒純粋理性批判⇒理性の限界づけ、理性は万能ではない
ヘーゲル

①近代哲学の総括者
②現実主義⇒私=主観を社会=客観と合体させた
③カントの欠点⇒ヌーメナが認識不可能ならば、客観の存在も不明
④精神現象学でのヘーゲルの解答⇒主観外の客観のことは考える必要はない
⇒全てのことは主観によって経験されるもの
⇒主観と客観の区分け自体が主観の中でつくられたもの
⑤主観の中で現れたことだけを問題にすれば良い
⑥主観と客観の二元論に意味は無い
⑦弁証法による認識のプロセス⇒テーゼ・アンチテーゼ・ジンテーゼの3種類
⑧人間の意識には、テーゼとアンチテーゼの二項対立の原理が働いている
⑨テーゼとアンチテーゼの対立から、より統合されたジンテーゼの認識に至る
ジンテーゼは新しいテーゼとなる 例:電話+メール⇒携帯電話
⑩全てのことは主観によって経験されるもの
⇒弁証法の運動で認識されたものが客観をつくっている
⑪人によって認識は違う⇒客観も人によって異なる
⑫認識にも個性がある
⑬認識のプロセスにおいては、自己意識が反映されている
⇒モノを認識するとき、自分にとってこれは何か、ということを意識している
⑭人間の認識は理性へと向かっている 意識⇒自己意識⇒理性
⑮人間はモノを意識し、それが何であるかを知っていくと同時に
自分自身が何であるか、社会と自己の関係の中で自己意識を形成する
⑯最初は、自己意識は自己中心的なものであるが
自分の存在が他者や社会によって存在していると気づく
⑰理性によって自己を社会的な存在と自覚し
社会の中で調和と秩序を持った存在となる
⑱社会的な存在の自覚は、労働と教養によってつくられる
⑲ヘーゲル的歴史観⇒歴史の矛盾を克服することで発展するという直線的な発展史観
⑳ヘーゲル的国家観⇒国家は争いを調停するだけでなく
人倫によって、お互いの価値を認め合う可能性をもっている
㉑人倫⇒人と人の間にある共同的な道徳や秩序のこと 人間の社会的な本質
㉒人倫は労働と教養を適切に積むことで身につく
㉓個人の自由と社会のルールを調和させる⇒私=主観と社会=客観との融合
マルクス

①科学的社会主義⇒歴史の発展プロセスを科学的に解明する
②ヘーゲル批判⇒理想主義的である
労働と教養をいくら積んでも倫理観が身につくとは限らない
③国家は欲望の調停をしているのではなく、欲望を保障している
④マルクスの基本思想
⇒歴史の変化のプロセスには、弁証法的な運動の法則がある
⇒この法則の原動力は疎外である
⇒歴史の変化のプロセスは人間の力ではコントロールできない
⇒内部の矛盾が解決されるまで続く
⇒内部の矛盾が無くなると、疎外も無くなる
⇒変化のプロセスが終わると、人間が自分の力でコントロールできる
⇒自由と自己実現を達成できる社会になる
⑤物々交換では互いに相手を必要とし、人倫があったが
労働が金に還元される資本主義社会では、人倫が存在しない
⑥労働=金 で人間性が疎外される
⑦格差が生まれ、革命が起きる
⑧格差の原因は生産手段の有無
⑨革命⇒多数派の労働者階級が少数派の資本家階級を打倒し、生産手段を手に入れる
⑩歴史の最終的な到達点は、この革命にある
⑪生産手段が万人の所有物となり、階級も政府も存在しない社会が理想である
⑫マルクスの思想は間違っていた⇒官僚による専制が起きる
近現代哲学者編
近現代哲学の背景
①古代ギリシャ哲学⇒世界はどうなっているか
②近代哲学⇒私たちは世界を正しく認識できているか
③ヘーゲル主義=全ては主観という意識に現れた世界
④近現代哲学⇒反ヘーゲル主義で、二項対立、理想や真理を想定していない
近現代哲学者11人
①キルケゴール
②ニーチェ
③フッサール
④フロイト
⑤ハイデガー
⑥サルトル
⑦メルロ=ポンティ
⑧バタイユ
⑨パース
⑩デューイ
⑪ウィトゲンシュタイン
キルケゴール

①実存主義の始祖
②実存主義とは「実存は本質に先立つ」という考え方
③人間には使命など存在せず、自分自身の選択と行動によって価値を創造する
④不条理な社会を「神のいたずら」として考えない
⑤死に至る病=絶望
⑥絶望の2つのパターン
A:有限性の絶望と無限性の絶望
有限性の絶望⇒地位や名声を得ても、有限なもののため、本当の自分を見失い絶望する
無限性の絶望⇒人類、歴史、運命といった無限のものに自分を一致させようとするが
自分の存在が希薄化、抽象化されて絶望する
B:可能性=希望 必然性=絶望
⇒人間は可能性によって絶望から解放される
可能性が無くなると、それは必然となり絶望する
⑦人間が生きるために必要なのは、可能性そのものであり、可能性の実現では無い
⑧死は可能性無き必然、故に人は絶望する
⑨可能性の化身である神を信じることで、死の絶望から抜け出せる
⑩ヘーゲル批判⇒どんなに社会や歴史と関わろうと
人間は倫理的な存在にはならない、無限性の絶望に陥る
ニーチェ

①弱者と強者がこの世には存在する
②強者は自分の行為を絶対的に良いと考え、自分の欲望の赴くままに人生を楽しめる
③弱者は自分の行為を良いとは考えず、強者に対してルサンチマンを持っている
④弱者はルサンチマンの感情を原動力に強者の価値を下げ
相対的に弱者の価値を上げようとする⇒強者は悪、弱者は善と考える
⑤強者が弱者を支配する世界を認める
⑥理想を追い求め、不可能と分かり、人間は深い絶望=ニヒリズムに陥る
⑦キリスト教は弱者のための思想
⇒弱者のユダヤ人が強者のローマ人に対するルサンチマンから生まれた思想
受け入れ難い現実を受け入れた
⑧「神は死んだ」⇒神が人間をつくったのではなく
人間こそがルサンチマンを抱えて、神をつくったということを暴いた時の言葉
⑨強者と弱者の関係は簡単に変化しない、故に、心の中で価値の逆転を図った
⑩ヘーゲル=マルクス主義批判⇒理想の世界、矛盾の無い世界など存在しない
⑪理想を追い求めるからニヒリズムに陥る、故に、理想を追わなければ良い
⑫人間が生きる上での新たな価値をつくる⇒力への意志
⑬力への意志とは、人間は自分の思うままに自由に生き
自己実現を図るべきだと考え、貪欲に生きることを肯定すること
⑭この世は、意味も目的も無く、同じようなことが何度も繰り返される
⇒この状態を永劫回帰と呼んだ
⑮ニーチェは、人間は永劫回帰の無意味な人生の中で
自らの確立した意思でもって行動する「超人」であるべきと説いた
フッサール

①この世界に客観は存在しない
②自分の主観と他者の主観の共通する部分が客観と勘違いされているだけ
③あるものの存在を確信するには、自分の主観と他者の主観との一致が必要不可欠
④一度成立した客観も別の他者の主観によって客観でなくなる可能性が常にある
⑤現象学⇒主観の上で認識されたことだけを問題にし
全てを主観上の現象として扱う思想
⑥正義や悪のような物事の本質を突くような問題になると、確信は曖昧になる
⇒言葉によってしか表現されない概念だから 形が無い
⑦本質直感=本質観取⇒モノの存在を認識すると同時に
モノの本質的な性質や意味も認識すること 例:リンゴ⇒赤い、丸い、酸っぱい
⑧言葉のイメージは受け手によってバラバラなため
ニュアンスが人によって変わる⇒確信が揺らぐ
⑨言葉に共通の部分と異なる部分の二つがあるのは、主観にズレがあるからである
⑩議論が平行線になるのは共通認識が無いからである 定義のズレ
⑪哲学は真理を追究する学問ではない⇒真理など存在しない
⇒一人ひとりに真理が存在し、それが完全に一致することはありえない
⑫真理は客観同様、主観と主観の間にのみ成立する
⑬この世界のあり方のような真理をめぐる問題は、他人との関係性の中で生まれた
⇒超越的な真理とは成りえない
フロイト

①無意識の発見
②超自我⇒理想の自我、道徳規範を守る
③自我=意識⇒超自我と無意識のバランスを保つ
④無意識=不安、性的欲望
⑤超自我は無意識の欲望を抑える効果があるが
強すぎるとストレスがたまり神経症になる
⑥超自我と欲望の葛藤が激しくなると、不安と緊張を増大させる
⑦超自我が機能しなくなると、欲望がそのまま噴出し、無責任で衝動的な行動を起こす
⑧自我は、近代哲学で言うところの理性や意識にあたる
⑨自我は、危ういバランスの上で成り立っている
⑩人間は理性的に行動しているように見えて
その裏では、無意識に抑圧された不安や欲望が渦巻いている
ハイデガー

①モノは人間が見て、触って、使う対象である
②心は、対象を捉えるという特殊な性質を持っている
③一般的なモノの存在と心を所有する人間の存在には違いがある
④モノはただそこに存在するだけ⇒存在範疇
⑤人間は、モノをある観点で捉え、規定しながら生きている⇒実存範疇
⑥近代哲学⇒モノの世界は既に秩序を持って存在しており
人間はその中に存在している⇒内世界的存在
⑦ハイデガー⇒人間の存在がまず始めにあり、人間が認識することで
モノの世界が出現する⇒世界内存在
⑧世界は人間の認識によって徐々に開かれていく⇒開示性
⑨人間=現存在が存在する基本は関心=ゾルゲである
⑩ゾルゲを通じて、世界が広がり、自分という存在を理解する
⑪リンゴは初めから存在しているのではなく
腹を空かせた人間が食べたいという関心=ゾルゲを持つことで
リンゴがある、リンゴは甘いなどという世界の秩序の一部が開示されていく
⑫人間は様々な消えたり、現れたりする関心を持って生きている⇒頽落
⑬ゾルゲによって現れる世界の中に自分が存在している⇒実存
⑭人間が最初から存在して、世界を認識しているわけではない
⑮人間は時間的存在である
⑯過去に何であったのかを理解し、未来に何でありうるかを選択することによって
現在における存在が形成される
⑰死は他人と交換できない、自分だけの絶対的で固有な可能性
⑱人間には死の可能性がある=世の中の出来事から解放される可能性がある
⑲人間は死を避けるあまり、著しく行動が制限されている
⑳自分の存在可能性を広める方法は、死を自由として扱う生き方をする
つまり、死を自覚することである
㉑死を自覚すると、良心の叫び声が聞こえてくる
㉒良心⇒人間の心を魅了するもの
㉓頽落として、本来の自分とは違う姿で生きる日常が、死を自覚することで
自分の本当の関心や欲望に気づき、本来の自分に向かう
㉔死から不安や絶望を感じるのではなく、死を自覚することによって
初めて生を躍動させることができる
サルトル

①意識は無化装置⇒意識は、あらゆるイメージや感情を蓄積する貯蔵庫であるが
収めたものを無にして消してしまう
②無⇒無意味
③意識はモノも自分の存在も無意味にしてしまう
④モノは自分の存在を意識しない⇒即自存在
⑤人間は自分の存在を意識する⇒対自存在
⑥人間は絶えず自分の存在を否定=無化するが
自分を見つめ直すことができる⇒変わることができる
⑦モノは本質が実存に先立つ⇒存在意義がある
⑧人間は実存が本質に先立つ⇒存在意義が無い
⑨人間の本質は決まっていないし、何を選んでも良い⇒本質の選択は自由である
⑩自由には責任が伴う⇒自分の行動の責任は、全て自分にある
⑪社会の仕組みが無意味だと感じるなら、変えれば良い
⑫アンガジュマン⇒社会参加・政治参加
⑬サルトルはアンガジュマンの正解として、マルクス主義に傾倒し
カミュや構造主義者から激しい批判を受けた
⑭人間は、自分の責任のもとで、自分や社会を自由につくり上げることができる
メルロ=ポンティ

①私=精神=意識
②近代哲学⇒心身二元論⇒精神が主体で、身体は客観=モノ
③メルロ=ポンティ⇒身体によって、意識は存在している
④身体は意識に先立つ
⑤精神は身体の一部、身体の消滅と同時に意識も無くなる⇒脳死
⑥客観の世界の情報を受信し、意識に伝達するのが身体である
⑦身体から発せられる要求に意識はコントロールされる
例:眠気、空腹、痛み、生理的欲求
⑧身体と精神は密接に関わっている
⑨人間は、この世界に身体として現れた
⑩身体の後に意識がついてくる 身体⇒意識
⑪意識は常に身体を介して、何かを感じ、考え、行動している
⇒生きられた身体、受肉化
⑫身体を無視した議論=上空飛行的思考
⑬身体には身体独自の意識のようなものがつくられている=身体知
例:幻影肢、楽器の演奏、ブラインドタッチ
⑭身体は受動的であるだけではなく、能動的な一面もある
⑮身体は空間や時間に住み込んでいる
⑯サルトル⇒意識と世界は切り離されている
意識が世界に働きかけることで、世界が変わる
⑰メルロ=ポンティ⇒意識と世界は、身体を介して溶け合っている
バタイユ

①人間は不連続な存在⇒いつか死ぬ
②孤独⇒連続性を求める
③現実の世界で連続性を感じられるものこそが死
④死は出口ではなく、永遠なものへの入口である
⑤人間には、生を保存しようとする衝動がある一方で
死との関わりを求める衝動=タナトスもある
⑥死を求めた結果、快楽=エロスが生まれる
⑦死とは、神聖なものを冒すこと、破壊することである
⑧人間の性行為は死の疑似体験⇒神聖なもの=女性を冒す⇒快楽を得られる
⑨人間は死を体感することで、快楽を得ることができる
⑩死は媒介であり、快楽を得るのが人間の目的である
⑪人間は快楽を得るために、絶えず死を体感する状況を作り出している⇒過剰
⑫人間は社会に過剰なものを作り出しては、破壊や消費を繰り返している
⑬戦争や大量殺戮などを行うのは、破壊行為=死から生じる快楽を求めているから
⑭大人買い⇒過剰の消費による快楽を求めている
⑮人間は法律や規律を守るだけでなく、破ることで快楽を得ている
⑯快楽を得るためだけに過剰にルールを設定しているとさえ言える
⑰人間は、過剰なセックスを消費することで快楽を得ている
⑱快楽を求めて、破壊や消費にのめり込む⇒人間の呪われた部分である
⑲人間はパンツを履いた猿である
⇒パンツ=過剰(道徳、法律、秩序)を脱ぐ(=破壊、消費する)ことで、快楽を得ている
⑳快楽を味わうために、普段はパンツを我慢して履いている
パース

①プラグマティズムの創始者
②プラグマティズム⇒実践型哲学⇒実際に行動してみることで分かってくる
⇒現実で役に立つ⇒哲学の実用化
③古代ギリシア哲学・近代哲学⇒形而上学
⇒頭の中だけで考え、現実を超えたところに真理を見出す⇒現実で役に立たない
④思考⇒行動の原則
⑤思考が始まるのは疑念が生じた時で、思考が停止するのは信念や確信が得られた時
⑥信念を基に行動することで、新たな疑念が生じ、再び思考を開始する
⑦疑念⇒思考⇒信念⇒行動⇒疑念のループで知識や考え方がクリアになっていく
⑧知識とは常に書き換えられていく
デューイ

①プラグマティズムを発展させて広めた
②道具主義⇒人間が生きていくための道具として知識を利用する
③道具は進化し改良され続ける
④知識の探求プロセスの確立
⇒問題の明確化
⇒解決策を提示
⇒行動によって検証
⇒間違っていたら別の解決策を出す
⇒正しさが証明されたら問題解決
⇒新たな問題を解決する
⑤理論=思考⇒実践=行動
⑥近代教育に革命を起こした⇒それまでの伝統的な理論教育に実践活動を導入し
子供たちの想像力を発揮するように促した
ウィトゲンシュタイン

①前期思想⇒論理哲学論考⇒写像理論⇒論理実証主義
②後期思想⇒哲学探究⇒言語ゲーム論⇒分析哲学
③写像理論⇒言葉は世界を写し取る鏡である
④目の前の世界を言語によって表したものが写像である 例:花が咲いている
⑤世界は無数の事実(事態)によって構成されている
⑥事実に対応して、言語による写像=命題(文)がある
⑦命題を全て集めれば、この世界の全てが表せる⇒写像理論
⑧言語があることによって、初めて人間社会や世界のことを理解できるようになる
⑨近代哲学⇒意識の外にある客観的世界は
意識によって写し出されているので、意識を調べれば良い
⑩ウィトゲンシュタイン⇒客観的世界は最終的に言語によって表される
⑪写像理論の2つの問題点
A:世界とは関係無い言葉もある 例:おはよう、痛い、疲れた
B:言語の意味は発話者の感情や状況によって変化する
例:遅刻ですみません⇒謝罪 注文ですみません⇒依頼
⑫写像理論から発展したのが言語ゲーム論
⑬言語ゲーム論⇒それぞれの場面に合った言語のルールに従って
適切な言葉を使用することで、初めて言葉の意味は適切に理解される
⑭言葉の意味は、その時のルールによって変化する
現代哲学者編
現代哲学の背景
①19世紀後半から20世紀にかけて、資本主義が根付き、格差社会が到来
②格差社会の不満の受け皿としてマルクス主義が流行
⇒平等重視で個人の自由が蔑ろにされたため衰退
③マルクス主義に代わり1960年代のフランスで台頭したのが構造主義
④構造主義⇒この社会には、私たちが気づいていない内につくり出した構造が存在し
私たちは、知らず知らずの内にその構造にはめ込まれている
⑤構造主義者⇒ソシュール、レヴィ=ストロース
ロラン・バルト、ラカン、アルチュセール
⑥構造主義における普遍的な構造というものは
人間によって変えることは不可能であり、真理のようなものとして存在している
⑦構造主義批判として生まれたのがポスト構造主義
⑧ポスト構造主義⇒真理の存在を認めていない
権力や脱構築、リゾームなどのキーワードから
現代社会の様相をより精緻に描き、新たな人間のあり方を模索した
⑨理想を追い求めた近代以降の人間のエゴが行き着いた先は
第二次世界大戦における大量殺戮であった⇒西洋思想の反省としてのポスト構造主義
⑩ポスト構造主義者⇒フーコー、デリダ、ドゥルーズ
現代哲学者8人
①ソシュール
②レヴィ=ストロース
③ロラン・バルト
④ラカン
⑤アルチュセール
⑥フーコー
⑦デリダ
⑧ドゥルーズ
ソシュール

①構造主義の始祖
②ソシュールの言語思想
A:シニフィアン-シニフィエ
B:ラング-パロール
C:共時態-通時態
③言葉には、シニフィアン=意味するもの、シニフィエ=意味されるものの
2種類があって、この2つが表裏一体となって機能している
例:チョウという音声=シニフィアン 蝶というイメージ=シニフィエ
④シニフィアンとシニフィエの関係は恣意的である
⇒音声とイメージの結びつきは、時代や場所によって変化する
⑤その言語の使い方を見ることで、言語の使用者がこの世界をどう見ているかが分かる
⑥ラング=言語の規則
⑦パロール⇒ラングに従って、実際にその言語を話すこと
⑧ラングとパロールの関係は固定的ではない
⇒パロールでは時にルールが破られる 例:若者言葉、誤用
⑨パロールには、ラングをつくり変えていく力がある
⑩ラングは時代や場所によって変化する
⑪共時態⇒ある瞬間、ある場所における、ある言語の状態のこと
⑫通時態⇒異なる二つの時点における共時態を比較することによって
解明される体系の変化のこと
⑬ソシュールは共時態を重視した
⑭モノに名前をつけるという行為によって、モノの秩序ができあがっていく
⑮言葉づけ⇒モノの秩序
⑯世界はあらかじめ決まったものとしてあるのではなく
言語によってどう秩序づけるのかによって、異なった世界が現れる
⑰世界には人間が恣意的に秩序づけた体系しかない
⇒この世界には普遍的な意味など存在しない⇒近代以前の哲学への批判
レヴィ=ストロース

①民俗学、文化人類学者
②言語や社会・文化の分析から得られた具体的な法則によって
抽象的な議論に徹する哲学の土台を揺るがした
③真の構造主義が可能なのは、言語学と民俗学の分野だけ
④人間社会には普遍の構造がある 例:近親婚の禁止
⑤近親婚の禁止は、共同体というシステムの維持のためである
⑥人間の交換無くして、共同体は開かれない
⑦近親婚の禁止は、未開社会であれ、西洋の文明社会であれ存在する
⇒無意識的に行われている普遍的な行為
⑧それまでの西欧では、文明の発達していない社会を未開社会と呼び
文明人よりも劣った野蛮人と見下していた
⇒自民族中心主義=エスノセントリズムとして批判
⑨未開社会を文明社会よりも劣った存在とするのではなく
単にタイプの異なるものだと考え、客観的に分析した
⑩文明社会⇒熱い文化⇒歴史的変化に敏感に反応し
理論的、計画的に向かう栽培的思考を持っている
⑪未開社会⇒冷たい文化⇒社会の安定のために歴史的要因を消す
野性の思考を持っている
⑫野性の思考⇒主体やアイデンティティが想定されていない
⇒各自は共同体の秩序にそって考え、行動する
⑬サルトル批判⇒個人の行為は無意識的に社会の構造に規定されている
⇒自由ではない⇒普遍的な構造は変更不可能
⑭マルクス主義批判
⇒マルクス主義では経済上の動機=支配階級と被支配階級間の利害的な力関係
の上に社会の諸制度があるとされている
しかし、経済上の動機と社会の諸制度の間には
人間が無意識につくりあげた構造が存在し
この構造が大きな役割を果たしていると唱えた
⑮西洋近代哲学批判⇒野性の思考の発見は西洋近代哲学における理性中心の
主体概念が絶対的であるという考え方に対する批判になっている
⑯理性や意識の裏には、それを無意識の内にコントロールしている構造がある
ロラン・バルト
①構造主義を「記号論」として展開した
②レヴィ=ストロースの構造主義⇒主体は見えない構造に規定される⇒主体の死
③ロラン・バルトの記号論⇒作者よりも作品の方が大事
⇒作者の死⇒表現した人ではなく、表現されたものだけを解読する
④ロラン・バルトは作品のことを「テキスト」と呼んだ
⑤あるテキストはオリジナルのものではなく
すでにある他の無数のテキストから引用してできている
⑥普段、漠然と見ている一つひとつの要素の組み合わせを分析することで
その表現や現象がどのような意味を持っているのかが分かる
⑦作品そのものから新たな意味の体系を取り出す
⑧これまで学問的対象とならなかったものまで分析できるようになった
⑨意味が無いと思われていたものに意味を与えることが可能になった
⑩デノテーション=明示的な意味、コノテーション=潜在的な意味の
2種類によって意味は発生している
例:「ベンツ」 デノテーション:ドイツの自動車 コノテーション:高級、ヤクザ
⑪デノテーション⇒言葉そのものの意味
⑫コノテーション⇒その言葉の持つイメージ
⑬私たちはデノテーションよりもコノテーションに支配されている
⑭デノテーションとコノテーションからなる意味の二重構造を神話作用と呼ぶ
⑮現代社会に生きる私たちは、この神話世界に放り込まれており
無意識の内に、ある一定の世界像を植えつけられている
ラカン

①構造主義を精神分析として展開した
②人間の無意識の構造に注目した
③鏡像段階論⇒鏡によって私がつくられる
④ヘーゲル⇒自己意識は他者によってつくられる
⑤生まれたばかりの赤ん坊は自分と他者との区別がつかない
⑥母親が世界のほぼ全てであり、一体化している
⑦生後6~18ヵ月になると、鏡に映った像を見て、私だということに気づく
⇒視覚的に、私という統一されたイメージを見出す
⑧3~5歳のエディプス期に、私に対して、様々な態度を取る他者の存在に気づく
⑨人間は、鏡像、そして、他者を通して、私をつくっていく
⑩私は、私だけでは決してつくられえない
⑪私の存在は、とても不安定である
⑫無意識は一つの言語として構造化されている
⇒私は、他者との関係=他者の言語によって構成され、他者から言語を学ぶ
⇒私は、無意識的に言語を使い、自分の考えや思いを自由に伝えられるようになる
⇒私というのは、無意識に体系づけられた言語を基につくられたものと言える
⑬人間の生きている世界は3つある
A:想像界
B:象徴界
C:現実界
⑭想像界⇒他者と自分の区別がつかず、まどろんでいる世界
⇒他者とのコミュニケーションを取る必要が無いので、言語も不必要
⇒生まれたばかりの赤ん坊はこの世界にいる
⑮象徴界⇒他者から言語を学び、私が形づくられていく世界
⇒他者が使う言語の規則や道徳、法律、秩序など社会的規範に従う
⑯社会のルールを「大文字の他者」と呼ぶ⇒個人の無意識的な欲望を規制する
⇒超自我に似ている
⑰社会のルールに合わせるために、本当の私は抑圧され
つくられた私、象徴化された私になっていく
⑱現実界⇒象徴界の重圧に耐えられなくなり
精神が破綻した人間が陥る、無秩序な世界
アルチュセール

①構造主義の観点からマルクス主義を見直した
②認識論的切断⇒物事には一貫性が無く、ところどころに切断がある
例:科学の歴史、地動説
③一本のストーリーではなく、いくつものショートストーリーが並んでいる
④アルチュセールはマルクス主義を認識論的切断を用いて解読した
⑤マルクスの思考は、ある時期から根本的に変わった
前期マルクス⇒ヘーゲルの影響を強く受けている
人間中心的考え方 哲学者的マルクス
後期マルクス⇒人間を考慮せず、社会を経済的な構造として捉える
科学的な考え方 科学者的マルクス
⑥重層的決定⇒原因と結果は一対一対応のような単純なものでなく
いくつもの原因が複雑に絡み合っている 例:政治、経済、イデオロギー、法律、宗教
⑦社会や歴史は、マルクス主義のように単純ではない⇒主体の死
⑧サルトル批判⇒個々の主体は自立的でなく
国家に無理矢理、支配されるものでもなく
自発的に国家に服従する⇒主体無き構造主義
⑨主体無き構造主義は、歴史や社会における個人の役割を否定する思想
フーコー

①ポスト構造主義者⇒真理の存在を認めていない
②人間の物の見方や行動は、普遍的なもので無く
その時代特有のものである⇒知の枠組み=エピステーメ
③19世紀以降に入ると、人間を中心に物事を秩序づける人文科学が誕生した
例:生物学、経済学、言語学
④物を考える時に人間という基準が現れたのは近代⇒人間とは最近の発明である
⑤近代生まれの人間の終焉⇒人間の主体や意識は、無意識や社会の構造に規定される
⑥人間は、自己監視システムを持っている
⇒自分の中に監視者の役割ができて、もう一人の自分を監視する
例:盗みをしない、定時に出社、ポイ捨てをしない
⑦主体というのは、自由なようで、不自由である
⇒既に自分の中に、権力を働かせる自我が入り込んでおり
もう一方の自我を支配し、コントロールしている
デリダ

①ポスト構造主義者
②脱構築⇒オリジナルとコピーの関係を調べる
③オリジナルとコピーにはズレがあり、オリジナルも何かのコピーに過ぎない
④西洋近代哲学⇒意味=話すこと=書くこと
⑤デリダ⇒意味≠話すこと≠書くこと
⑥オリジナルとコピーの間には2つのズレがある
A:時間的なズレ
B:言葉そのもののズレ
⑦時間的なズレ⇒何かを思ってから、話したり、書いたりするのには
タイムラグが生じる
⑧言葉そのもののズレ⇒言葉の意味は、他の言葉とのズレの中で生じる
心の中で思ったこととピッタリの言葉は存在せず
言葉の世界から適していると思われる言葉を妥協して選んでいる
⇒オリジナルとのズレが生じる
⑨言葉の戯れ⇒オリジナルの意味は完全に正確には伝わらず、ズレがある
⑩オリジナルよりもコピーの方が重要である
⑪コピーにはオリジナルの意味が存在しない⇒主体の死
⑫オリジナルも実は何かのコピーである⇒この世に真理など存在しない
⇒西洋近代哲学への批判
⑬人間は言語活動を通じて、心の中に言葉の差異の体系を築いている
⇒人間の心は言葉でできている
⑭心の中の意味は言葉であり、それは既に聞いたり使ったことのある
言葉のコピーである⇒オリジナルの意味は、どこにも存在しない
⑮自分もオリジナルではない⇒自分らしさやアイデンティティへの疑い
⑯言葉の戯れの中に潜り込み、新たな意味を見出す
ドゥルーズ

①ポスト構造主義者
②21世紀のインターネットの時代を予見していた
⇒世界中の人々とコミュニケートし、そこから新たな可能性が生まれてくる
③欲望機械⇒人間は心も身体も欲望の充足を目指す機械に過ぎない
④本来、欲望は無方向に散乱している
⇒このままでは、社会が成立しないので、規制する=コード化する
⑤人間の欲望のコード化は歴史上、3種類に分けられる
A:古代国家
B:専制主義国家
C:資本主義社会
⑥古代国家⇒土地や物品の所有によって欲望のコード化が行われた⇒コードの社会
⑦専制主義国家⇒富がいったん全て帝国のものになり、その後に臣民に分配される
ごく一部の人間にのみ欲望のコード化が行われた⇒超コードの社会
⑧資本主義社会⇒欲望が社会のコード化から抜け出そうとする⇒脱コードの社会
⑨欲望の脱コード化を野放しにしておけば、社会は無秩序になって自滅してしまうが
資本主義社会では、欲望を調整する社会公理系が自然に備わっている
⑩社会公理系⇒欲望を想像の世界に抑圧する
⑪社会公理系の始まりは、エディプス関係にある
子が持つ母親との性交の欲望は、父親が去勢するという幻想によって断念させられる
⑫欲望の脱コード化と社会公理系の対立は、個人の内面の中に植えつけられている
⑬資本主義社会では、個々人が自由に欲望を追い求めることができるが
一方で、社会生活を送るために自分で自然とブレーキをかけて調整して生きている
⑭ドゥルーズは人間にノマド的生き方を推奨している
⑮ノマド的生き方⇒誰の所有物にもなっていない空間を漂い、開かれた交流を行う
⇒欲望の脱コード化を求めて、境界を越えて漂い、新しい欲望を生み出す
⑯ノマド的生き方は、欲望のコード化と社会公理系から解放される生き方である
⑰21世紀のモデルは、ツリーではなく、リゾームである
⑱ツリー⇒樹木の幹のように、中心がはっきりとしている、序列型システム
⑲リゾーム⇒樹木の根のように、中心が存在せず
多様な方向に無秩序に広がり、他のものと多様な形で連結する 非中心化システム
⑳様々なジャンルが融合し、新しい要素を生み出していく
こうしたノマド的思考法によって、リゾームは成長する
㉑インターネットの世界は、リゾームそのものである